シシドのヒトリゴト

きょうも指先に心をこめて

「書くことが好き」なすべてのひとへー『書くことについて』スティーブン・キング

こんばんは。今日ご紹介するのは、泣く子も黙る世界的ホラー作家、スティーブン・キング文章読本『書くことについて』です。

書くことについて (小学館文庫)

書くことについて (小学館文庫)

 

(私は去年購入したのですが、既に線を引きすぎてボロボロです・・)

この本は、以下のように構成されています。
1履歴書
2道具箱
3書くことについて
4生きることについて
5閉じたドア、開いたドア

1「履歴書」

スティーブン・キング(以下キング)の半生をつづったもの。初めて書いた小説、応募しても応募しても結果の出ない日々、後に妻となる女性との出会い、小説家デビューの経緯などが描かれています。物語としても十分に面白いです。

2「道具箱」3「書くことについて」

ここが本書の眼目。キング自身の言葉で「書くことについて」語られています。

私は何も言っていない。あなたも訊いていない。私は口を開けてもいない。あなたも同じだ。われわれは同じ部屋にいるわけでもないし、同じ時間を共有しているわけでもない。にもかかわらず、われわれは一緒にいる。あなたと私の間に、へだたりはない。
心と心が共鳴しあっている。

書き手が何かを書き、それを読み手が受け取る。それがどういうことかを表現した文章です。キングの場合は小説ですが、ブログでも同様です。おそらく一生会うことはない人の、あったとしても話してはもらえないだろう考えや思いを、ブログを通じてうけとり、交流ができる。これって、すごいことですよね。

具体的な文章のポイントについては、たとえばこちら。

テンポを良くするには、刈りこまなければならない。それは最終的に誰もがしなければならないことである(最愛のものを殺せ。たとえ物書きとしての自尊心が傷ついたとしても、駄目なものは駄目なのだ)。

上の文章は、「テンポをよくするために無駄な部分を削りましょう」の一言で片付いてしまいます。それが、魅力的な言い回しで、読者の印象に残りやすくなっています。

4「生きることについて」

この本を執筆中、交通事故にあって重傷を負ったキング。彼は、痛みをこらえながら、それでも書き続けることを決断します。「ひとは、何のために書くのか」に対するキングの答えがこちらです。

一言でいうなら、読む者の人生を豊かにし、同時に書く者の人生も豊かにするためだ。立ち上がり、力をつけ、乗り越えるためだ。幸せになるためだ。

あなたは書けるし、書くべきである。最初の一歩を踏み出す勇気があれば、書いていける。書くということは魔法であり、すべての創造的な芸術と同様、命の水である.

まるで、書きたい人に対するラブレターのような一節です。

5「閉じたドア、開いたドア」

この章では、プロの作家(それも世界的な有名作家!)の一次稿と、二次稿を読み比べることができます。これがまた全然印象が違っていて面白い。プロの作家といえど、こんなに直しが入るのかと驚きます。それなら、自分の文章だってリライトするのが当然だな、がんばろう!と思わせてくれます。

以上で、本のご紹介は終わりです。

最後に

ここまで書いてきましたが、これを書いている私(シシド)の文章がまだまだ下手です。毎日、色んな方のブログや書籍を読んでは、(どうやったらこんなに面白い文章が書けるんだろう・・)とモヤモヤしています。

でも、落ち込んでいる暇はありません。私の修業はまだ始まったばかりです!

たくさんの優れた文章を読むこと、そして指先に心をこめて書くことで、きっと自分の腕も上がっていくと信じています。そんな日々の隣には、この『書くことについて』をいつも置いておきたいと思うのです。