新しい朝がきて 夫を起こす幸せ(なのにどうして死にたがるんだろう)
新しい朝が来て、横で寝ている夫を起こす。毎日ではなくて、私が起こしたい時だけ。(どうせ時間になればひとりで起きてくるので。)
まだまだ寒い朝、夫はみのむしみたいに顔だけだしてふかふかの布団にくるまっている。夫にのっかって「あさがきたー!」というと、夫はちょっと笑って寝たふりをしている。寝たふりをしてるのがむかつくので、ふとんの脇から手をいれてくすぐってやると、「わーまいった」「やめてやめて」というので楽しい。
ただこれだけでこんなに楽しい。なのにどうして夫は死にたがるのか。
死んだら全部なくなってしまう。朝もない、布団もない、コーヒーもない。
今はこんなにあったかくて、大きい動物みたいな夫も、死んだら焼かれて
灰になってしまう。そうなったらもう、私だって誰だかわからない。
考えたら悲しくなってくるので、夫をほっぽって台所にコーヒーを淹れに行く。2つ淹れおわって寝室をのぞいたら、夫はまたみのむしみたいになってすやすやと寝ていた。